今日は、中でも大好きなペンギンについてお話したいと思います^^
ペンギンって本当に大人気ですよね!日本はペンギン大国と言われているくらいで、どこに行っても水族館にはペンギンが…。
飼いた~い(*´∇`*)という声も聞こえたり…しますよね?
わたしは大学が生物系で、水族館で飼育員さんの補助をさせて頂いていた経験もあるので、
「ペンギンの飼育は(一般家庭でも)可能なのか」
という疑問について今回まとめてみます。
…お察しかもしれませんが、ペンギンの飼育はとっても大変です。
が、実際に飼っているお宅もありますよね?テレビでやっていました。本当に、ペンギンの飼育は個人でもできるのでしょうか??
ペンギンはそもそも飼育していい動物なの?入手方法や値段は?
そもそもペンギンは、自由に飼育してもいい動物なんでしょうか?
水族館や動物園などの特別な場所でしか飼育できないイメージですが、実際はどうなのでしょう??
取引の制限はあるのか、入手方法、飼育が許可されるための、飼育環境の「条件」などをお話します。
ペンギンは絶滅危惧種で取引きできない種類も
希少な生き物は、国際間の取引が制限されていることがありますね。
とっても珍しいシーラカンスなんかは、生きた個体どころか死んだ個体でも取引も展示もできなくて、沼津港水族館の冷凍シーラカンスがものすご~く貴重、とか…。
こういう決まりは、「ワシントン条約」で決まっていることなんです。
絶滅する危険性がある生き物を守るための取り決めですね。
で、ペンギンなんですが、ワシントン条約で国際取引が規制されている種類があります。
フンボルトペンギンと、ケープペンギンの2種類です。
もっとなんかコウテイペンギンとかコガタペンギンとか、希少そうなやついるんじゃ…
ってびっくりしましたが、世界的にはフンボルトペンギンとケープペンギンが危機的な絶滅危惧種なんですよね。
日本ではフンボルトペンギン達は多くて、コガタペンギンとかキガシラペンギンとかは見ないけど、日本の話と世界の話は違うわけで…。
あとは、コウテイペンギンなど南極にいるペンギンは「南極法」で保護されています。
南極域では捕獲はおろか、近づくことすらできません。(ペンギンから5m以内に近づくの禁止)
日本でのペンギンの入手方法
ワシントン条約が取り締まるのは、「国際間の取引」だけです。
つまり日本国内で産まれたペンギンたちは、制限に引っ掛からずに手に入れることができるんですね。
ただし、ワシントン条約の付属書Ⅰ(一番厳しい分類)に載っているフンボルトペンギンは、飼育する場合に環境省から許可が必要になりますのでご注意を。
フンボルトペンギンなどの温かいところで暮らすペンギンたちは、どうも日本の気候に合っているようで、日本ではたくさん繁殖されています。
もちろん日本の高い技術のおかげもあるのでしょうけど、世界的に見たら本当にすごいことです(*´ω`)
意外にも、日本でならペンギンの取引は自由…?と思うかもしれませんが、そうではなくて、日本にいるペンギンは全て「家系図」で記録をとって管理されています。
このペンギンはどこ生まれで、今はどこに…というのが分かるということですね。
ペンギンの具体的な入手方法は、
- 水族館などに卸している業者さんから買う
- 水族館や動物園が引き取り先を探している場合も
という方法がありますが、水族館などが個人に譲ることはまぁまずないでしょう。
水族館や動物園どうしでの譲り合い、貸し借りはよくありますけどね。
飼育体制がしっかりしていることが条件
希望があったらすぐ譲ってもらえるほど、ペンギンの飼育は甘くありません!
ここなら安心してペンギンを任せられるな。と判断されないといけないんです。
- 広い飼育スペース…ペンギンは陸にいることも多い。巣も作ってね
- 自由に泳ぎまわれるプール(できれば海水)…ペンギンの泳ぐ時速は10km超え…人の走る・自転車の速さと同じくらい。気持ちよく泳ぎまわれる広さを!
- 水のろ過機能…水の入れ替えも定期的に。
- 大量のエサ(+貯蔵する冷凍庫)
- もしもの時の自家発電機
常温で飼育できる種類のペンギンでも、最低限これらの設備は必要になってきます。
万が一にもペンギンが脱走しないように、また、できることなら生息地の環境に近い造りにしてあげたいですね。
これだけでも超大変なんですが、さらに一番大事なのが、飼育する人の「ペンギンに関するベテラン並みの知識」です。
ペンギンを飼う気なら、情報がないなんて言っていられない。どんなことにも対処できないと…(´-`*)
ところで…ペンギンの値段はいくらくらい?
今のところ唯一の手段そうな、業者さんから買おうとした場合…気になるペンギンのお値段はなんと、
だいたい100万~1000万円!!!
種類によって値段は幅広く、フンボルトペンギンやケープペンギンは100万円足らずで買えたりもします。
オウサマペンギンは1000万円、コウテイペンギンともなるとそれ以上…!Σ(゚口゚;
寒冷な地方のペンギンとなると、冷却設備など飼育が並大抵ではなくなるので、水族館などでも亜熱帯のペンギンを飼っているところと比べて数がぐっと減るんですよね。
(コウテイペンギンなんて日本で2館しかいない)
ペンギンの餌はなに?食べる量やバランスも考えて!
ペンギンは水族館で見るとちまちま可愛らしいですが、本当は結構大きな動物なんです。
一番小さなコガタペンギンは体重1kg、一番大きなコウテイペンギンだと40kgにもなります!もう人並みですね。さすが人鳥(?)
水族館で見かける中で小さっ!と感じるイワトビペンギンでも、2kgくらい。
そんなペンギン達の餌の量もハンパではなく、餌のあげかたで気を付けるポイントもいくつもあります。
餌は人間用の魚でOK
まず餌の魚は、ペンギン用とかペット用とかではなく、普通の人間も食べる魚でOKです。
とはいえ彼らはたくさん食べるので、パック売りの魚などではなく、かたまりのブロック状で売られている魚を使っていました。
…ブロック状の魚と言っても、あまり見たことないですよね(´∀`;)笑
何十、何百匹もの小アジがまとめて冷凍されて、四角くなって固まっているんです。
それを丸ごと水に浸けて(シンクに水を張った所に入れる)、自然解凍したらペンギンに食べさせることができます。
わたしが色々な水族館を見て回った経験では、ペンギンにはアジを与えている水族館が多いようでした。
他にはシシャモや、大きなペンギンにはホッケをあげているところもあります。
ペンギンの食べる餌の量
ペンギンはあんなに可愛いけれど、実はとっても大食いです!
一日に必要な餌の量は、ペンギンの体重の10%…。
参考までに人間だと約2.5%ですから、どれだけすごいのか分かりますね(・口・´)!!
それを1日に2~3回に分けてあげましょう。
ペンギンをたくさん飼育している水族館などでは、どの子がどのくらいの餌を食べたかを毎回記録しています。
餌をあげる時に、ちゃんと食べてくれるか?弱っていないかなどチェックしたいですね。
ビタミン剤や塩を入れて栄養バランスを取ろう
生魚を食べている野性のペンギンより、飼育しているペンギンはビタミン不足になることが多いので、そこは錠剤で補ってあげます。
あげ方は、魚のエラのところから錠剤をぐいぐいっと押し入れて、ペンギンにばれないようにすればOK(笑)
意外に押し込むと入ります。わたしのお手伝いしていた水族館では小さな粒を2~3粒入れて、週一くらいの頻度であげていました。
それと、もし淡水で飼育する場合は、低ナトリウム血症になってしまう恐れがあるので、餌の魚に塩を加えてやる必要も出てきます。
海水を用意するのも大変だけど、淡水は淡水でデメリットもあるんですね。もともと、海の生き物ですから当然と言えば当然か…。
ペンギンへの餌のあげ方
まず魚ですが、食べやすいようにと小さく切ってはいけません!
ペンギンは、魚は頭からするりと食べることしかできませんので、切らないでくださいね。
ただ、ひっかからないように魚のヒレやゼイゴを取ったりはします。
あるとき餌をあげた水中の様子を見ていると、千切れて沈んでいく魚を食べたくても食べられなくて、とっても苦労して皆でつついていました…!
頭がある方の千切れた魚は、しばらくすると器用な一羽が食べていきましたが、しっぽの方しかない魚はどうしても食べられないみたいでした。
あとは、餌をねだって近寄ってくると思うので、(こちらの)ケガに注意しましょう。
ペンギンって、あれで結構危険なんですよ(。-`ω´-)
ペンギンには触れるの?警戒心の強い子やくちばしに注意!
なついてくれた動物には、触ってスキンシップを取りたいですよね?
ペンギンは、犬や猫のようにとはいかなくとも、少しはなついてスキンシップをとれる動物なんでしょうか(´・ω・`)
ペンギンは飼い主になつくの?
ペンギンがなついてくれることはあまりありません。残念ですが…。
ペンギンが慣れたりなついたりしないので、水族館でショーをやってみてもぐちゃぐちゃです(笑)
自由気ままなんですねぇ。
人の手で育てられたペンギンは、ある意味では慣れたとは言えるのでしょうか。そばを歩いても、人間を怖がったりはしませんでした。だけど…
ペンギンの攻撃に注意!けがします
お世話や掃除のために手を出すと、鋭いくちばしでつついて来たり、ただ歩いているだけでつつかれたりもします(汗)
特に繁殖期・育児シーズンだとペンギンは警戒心が高まっているので、むやみに構わない方がいいでしょう。
比喩ではなく血がにじむので、油断は禁物です(´ー`A;)
ペンギンが威嚇や戦う時に使うのは、くちばしとフリッパー(手の部分)。
フリッパーもかなり強力で、くらうと普通に骨折するそうなので、可愛いからとあなどってはいけない動物です。
ペンギンを飼育する時には、ケガの他にも気を付けなければいけないことがあります!自分だけじゃなく周りにも迷惑をかけてしまうかも…。
ペンギンの鳴き声や臭いは飼育できる範囲内?
ペンギンの攻撃には自分が我慢すればいいのですが、ペンギンには鳴き声やにおいという問題もあります。
飼育するには家族はもちろん、周りのご家庭のみなさんにもちゃんと理解してもらわなければいけません。
ペンギンの鳴き声はかなり大きい
ペンギンなんてあんまり鳴いてるの見たことないし、鳥でしょ?かわいい声なんじゃない??
と思っている人もいるかもしれません。が、とんでもありません!!
ペンギンの鳴き声はかなり低くて、しかも大きい…。かわいくは、ないです(笑)
ガラス越しとかだとめったに聞こえないかもしれませんが、ペンギンの鳴き声はかなり大きいです。
急に鳴かれるとΣ(`・д・;)!!ってびっくりするくらい、大きいですね。
犬の鳴き声が近所迷惑として問題になるようなところでは、ペンギンの飼育は考え直した方が良いと思います。
ペンギンの臭いも結構きつい
ペンギンのにおいも結構ありますね。
ガラス越しでは全然伝わらないし、ガラスがないと距離があるので伝わりにくいでしょうか…?
もしペンギンの匂いを感じてみたいなら、いいところがあります!
ペンギンの飼育スペースに直に入ることのできる、新潟県の上越市立水族博物館「うみがたり」では、ペンギンの体の匂いや生活臭(?)を肌で感じることができますよ~。
この間リニューアルオープンしたので、行ってきました(・v・*)
あんなにペンギンとの距離が近い水族館は初めてですね。
おさんぽとか触れあい体験で間近に…はありますが、飼育スペースに誰でも入れるというところは、あの水族館だけではないでしょうか。
ペンギンを飼育するなら長年にわたって飼育するわけですから、とても気軽に飼っていい動物ではありません。(どの動物でもそうですが…。)
ペンギンの寿命って、どれくらいか知っていますか??
ペンギンの寿命はどのくらい?病気になったら…?
ペンギンの寿命は、おおよそ20年くらいです。
飼育下では餌もあるし、天敵もいないし、体調管理や病気もしっかり診てもらえるので寿命は長くなる傾向にありますね。
水族館では、30歳というご長寿ペンギンもいます。
20年を長いと取るか短いと取るか…、わたしは「長いな」と感じました。
ペットというか、飼育するにしては…という意味でですね。犬や猫が10年くらいだからでしょうか??
参考までに(?)よく飼育される大きめの鳥として、フクロウは30年、オウムは50年も寿命があるそうだから、ペンギンがとりたてて長いわけではないのかな?
だけど、20年や30年を共に生きる…それがペンギンだとしたら、かなりの覚悟が必要であることは間違いなさそうです。
しかも万が一体調が悪くなったら、あなたはすぐそれに気がつけるでしょうか?ペンギンの病気に詳しい本も、ネットも、診てくれるお医者さんもかなり限られます。
本当に、ペンギンを幸せに出来るでしょうか??
「ペンギンの飼育は一般でも可?環境や餌、鳴き声、臭いが大変…寿命や値段は?」まとめ
結局ペンギンはペットとして飼育するのにふさわしいの??
という問いに答えるとしたら、わたしは間違いなく「ふさわしくないです。」と答えるでしょう…!
みんなが飼っている動物と違って、個人の力でどうにかできる動物ではないと思います。
頼れる人もいないし、医者もいない…。
水族館には専属の獣医さんが、ペンギンの様子を毎日見ながら細かいことも把握して、異常があった時には治療をしているようなところもあります。
ペンギンを毎日見ているお医者さんで、なおかつ個人の飼っているペンギンも診てくれる人を探すなんて、並大抵ではありません。
しかも、ペンギンは泳ぎまわれる立派なプールも必要です。
ペンギンの泳ぐ速さって、すごい速度ですよね。
ぷかぷか浮いているような水鳥とも違うので、その点も要注意ポイントです。
結局、ペンギンは水族館or動物園で専門家が飼育しているところをありがたく見させて頂く!!というのがベストだとわたしは思います(*´ω`*)